JA:自動編集にはどんな問題があるのですか?
たとえば、あなたが Building=house というタグを見つけたとします。「おかしいな、これは地図に表示されないはずだ。building は大文字と小文字を区別するのに、`B` が大文字になっている。」と思うでしょう。そこで taginfo を開いてみると、この誤って大文字化されたタグが世界中で 321 件 使われていることがわかります。「なんてこった!たった一つのタグミスのせいで 321 軒の家がレンダリングされていない。これは直さなきゃ!」と思うわけです。
あなたは taginfo から Overpass クエリを実行し、そのデータを JOSM に読み込みます。手のひらは汗ばみ、緊張します。 Building というキーをダブルクリックすると、値は「different」と表示されています。それを building に修正します。アップロードして、あなたは満足します。「よし、321 件の建物を埃の山から救い出したぞ!」
しばらくすると、「他にもスペルミスがあるんじゃないか? 自分が光り輝く鎧を着た騎士になって、助けてあげられるタグがまだあるはずだ。」と思い、再び taginfo を開こうとします。そのとき、DWG を名乗る人物からこんなメッセージが届きます。「あなたは 自動編集の行動規範 に違反しています!」……えっ? あなたはただ助けたかっただけなのに。
あなたはいったい何をしてしまったのか?
大規模なチェンジセット
まず第一に、あなたはおそらく「ほぼ地球全体」を含むチェンジセットを作成してしまっています。これをあと数回繰り返すと、あなたの編集履歴は次のようになります。
どこか小さな地域の History タブを開いた人でも、あなたのチェンジセットが必ず表示されます。なぜなら、そのチェンジセットが地球規模で広がっているからです。これは OSM のソフトウェア側の問題とも言えますが、(空間的に)巨大なチェンジセットは実際のところ非常に厄介です。
状況把握の欠如
第二に、あなたは変更した 321 個のオブジェクトを確認していません。ある場所では、元の建物が地図に表示されなかったため、誰かが正しいタグを付けた建物をその上に重ねて描いていました。あなたが元の建物を見えるようにしてしまった結果、地図はこんな状態になっています。
もしその場所にズームして既存データを読み込んでいれば、当然気づいたはずです。しかし「自動編集」、つまり個々のオブジェクトを確認せずに一括で変更したため、見落としてしまいました。
カナダでは、あなたが「救い出した」建物が半分水の中に沈んでいます。
よく見ると建物の位置は正しく、修正すべきは海岸線のほうでした。実際にその建物を見ていれば気づけたはずのことです。 他の場所では、道路や川の上に建物を復活させてしまっています。
また別の場所では、建物の四隅のノードすべてに Building=yes が付いており、本来不要なタグを削除すべきところを、あなたは親切にも building=yes に「修正」してしまいました。
品質が向上したように見えてしまう
第三に、あなたはオブジェクトを確認していないにもかかわらず、そのオブジェクトの最終編集者として記録されます。たとえば、3年間誰も編集していない村があったとします。専門ツールでは編集活動が少ない地域は色が薄く表示されますが、あなたの編集のおかげで、その村は最近編集された地域として明るく表示されるようになります。しかし実際には、地図としての内容は何も改善されていません。
(OSM には多くのバグチェッカーがあり、放置された地域はクリスマスツリーのように警告が点灯することがあります。これは「そろそろ誰かが現地を見て全体を見直すべき」というサインです。あなたが表面的なバグだけを直してしまうと、本当に必要な改善が見えにくくなってしまいます。)
理解不足
数日後、台湾のマッパーからあなたの編集についてメッセージが届きます。しかし内容は中国語(繁体字)で書かれており、あなたには何を言っているのか分かりません
誤った判断の可能性
もう少し複雑な例では、あなたが明らかに間違いだと思って修正した内容が、実は正しかったということもあります。たとえば name=Mac Donald を name=McDonald's に直したとします。しかし後になって、あなたの知識では判断できない事情があり、name=Mac Donald が正しいケースも存在することが分かるかもしれません。
結論
まとめると、あなたの善意は本物でしたが、その編集には多くの悪影響がありました。こうしたタイプの編集は控え、遠隔から自動的に修正するのではなく、実際に編集する地域を見ながら作業するほうが望ましいです。
それから…… あなたが最近その地域を編集したせいで、サンサルバドルのコミュニティから毎月のミーティング招待が届くようになったことは、もうお伝えしましたっけ?
代わりに何をすべきなのか?
潜在的な問題を検出したときに行うべきこと:
原因を理解する
まず、何かを修正する前に、その原因を理解するよう努めてください。経験の浅いマッパーが既存データを編集し、意図せず何かを壊してしまった可能性もあります。問題に関わったマッパー、彼らの経験度、使用しているエディタなどを確認する必要があります。また、不具合のあるデータがインポートや不適切に実施された組織的なマッピング活動に由来する場合もあります。 その場合は、さらに調査を進め、データを完全に削除する必要があるかもしれません。
問題を直接確認する
可能であれば、実際に現地を調査してください。いや、本当に、実際に行ってみることが重要です。そうすることで、その場所に何があり、航空写真とどう対応しているのかを、頭の中で立体的に把握できます。また、現地を見ることで、画像から特徴をより正確に読み取れるようになります。たとえば、小道の路面がどのような状態か、あるいは水路について、人工のものか自然の川・小川なのかを判断しやすくなります。(特に、200年前に造られた人工水路などは、画像だけでは判別が難しいことがあります。) もちろん、地域全体が立ち入り困難で、誰も現地調査できない場合もあります。その場合は、航空写真や著作権の切れた資料などを使って作業するしかありません。しかし、もし地元のマッパーがアクセスできる場所であれば、彼らが現地調査を行うことで、最も確実に問題を修正できます。
コミュニケーションを取る
ここまでで、(a) 元のマッパーが何を意図してマッピングしたのか、(b) その後のマッパーが何をしようとしていたのか、(c) もし自分が最初からマッピングしていたらどうしていたか、という三つの視点が見えてくるはずです。
この三つが一致していて、単なるタグ付けのミス( name=foo とすべきところを natural=foo としてしまう例など)であれば、「データを正しく修正する」だけで問題ありません。しかし、多くの場合は三つの視点が一致しないこともあります。その場合、初期のマッパーにマルチポリゴンの仕組みを説明する必要があったり、途中で「修正」した人に対して、変更したタグ自体は有効な OSM タグではあるものの、このケースでは実際の状況と一致していないことを伝える必要があるかもしれません。
特定のマッパーとやり取りする最良の方法は、変更セットの議論コメントを使うことです。これには、議論が公開されること、そして変更セットと並んで表示されるため背景が明確であるという利点があります。他の地元マッパーもコメントを追加でき、特定の水域についてより詳しい人がいるかもしれません。 もしそれでうまくいかない場合や、地域のマッパー全体に連絡したい場合は、問題点を説明する OSM ノートを追加する方法もあります。すぐに対応されないこともありますが、ノートは数か月後に解決されることもあります。さらに別の方法として、国別のメーリングリスト、フォーラム、IRC チャンネルなどを通じて地元ユーザーに連絡することもできます。彼らは地元の誰かを知っているかもしれませんし、OSM マッパーでなくても、状況を説明できる人を知っている可能性があります。
冗談でしょ!
「OSM で有効なタグに変更する」ことが「データを正しくする」ことだと思わないでください。そうではありません。単に「自動的に問題箇所を検出したり、より良いマッピングの支援が必要なマッパーを見つけたりすることが難しくなる」というだけです。たとえるなら、誰かが「horse(馬)」を「kow」と書いていたとして、それを「cow(牛)」に直しても、説明そのものが正しくなるわけではありません。
覚えておいてください – OSM は地理情報のプロジェクトであり、コンピュータサイエンスのプロジェクトではありません。 OSM に参加した人の中には、問題を見つけるとすぐにコードを書いて修正しようとする人がいますが、実際の現地調査に基づく編集をほとんど、あるいは全く行っていない場合もあります。 少し時間を取って、実際に現地調査に基づくマッピングを行い、さらに、検出しようとしている問題の背後にある人為的な原因を理解することを強く推奨します。「あなたは X を間違えた」と言うだけではなく、どう間違えたのか、どうすれば良いのかを礼儀正しく伝えることが大切です。
自動編集が問題解決の最良の方法だと主張する人もいます。確かに、面倒な編集作業を避けられる場合もあります。しかし、この考え方はコミュニティ内で大きく議論されています。自動編集の前に議論を必須とするのは、本当に必要な種類の自動化だけが使われるようにするためです。
参照
自動編集を行いたい場合には、自動編集の行動規範に記載された手順に従う必要があります。


