User:Nahainec/PowerLine
はじめに
直接利用する道路や鉄道と違い、送電線については標識(プレート)が我々一般人向けのものではないため情報の入手が難しいかと思います。 ここではプレートの読み方を中心に現地で必要な情報をどう入手するかを解説してみます。
用語 | 説明 |
---|---|
腕金(うでがね) |
がいしを取り付けるために鉄塔から突き出ている腕。 通常、1つの腕金には1相が吊り下げられるが、長い腕金に2相吊り下げられることもある。 |
回線 | 通常3つの相からなる送電の基本単位。 |
架空地線 |
送電線を雷から保護するための線。 鉄塔上部を結ぶように通常1,2本の細い線が張ってある。 送電には使用されない。 がいしを使用していないので容易に区別できる。 |
環境調和鉄塔 |
写真のように電柱を巨大化したような鉄塔のこと。 都市部に多い。 power=poleと迷うかもしれませんが、これもpower=towerです。 |
系統 | 始点・経路・終点を共有する単独あるいは複数の回線。「杉並線」などの名称がつけられる。 |
相 | 単独あるいは複数の導体からなる。
複数の導体からなる場合それらの導体は電気的に接続されている。 |
導体 | 電線。 |
分岐鉄塔 | 系統が分岐する鉄塔のこと。各路線の電圧は接続されているのだから当然同じ。
分岐していないように見えても地下ケーブルを分岐していることがあるので注意を要する。 |
併架 | 複数の系統で鉄塔を共有すること。各系統の電圧は同じこともあれば異なることもある。 |
鉄塔
送電線の鉄塔は中心にノードを置きpower=towerとします。
位置
- 真下に入れるときは問題ないです。
- 接近できるときは周りをまわってみましょう。1/4周できれば位置は決まります。
- 道路沿いにあるとき、奥行きは見当をつけるか下の方法と併用します。
- 山の上、学校等の敷地内、川の中州など接近不能な場合、以下のように位置を絞っていきます。
- 幾つかの地点からの方位を調べる。
- 送電線と道路の交点を複数確定できればその延長上にあるはず。
結局、接近できない鉄塔の位置は少しぐらい違っていても困りません。 細かい位置は気にせずにnote=estimatedを付け ドシドシ入れてしまいましょう。
番号
ref=厚木北線14
鉄塔の番号は通常系統名と通し番号から成ります。 上の例では「厚木北線」が系統名、 「14」が通し番号になります。
併架鉄塔・分岐鉄塔のように一つの鉄塔に複数の系統がかかわる場合は代表して付いています。 分岐の場合は本線側、併架の場合は鉄塔の上側の系統名が使われますが、例外も多いので注意します。
番号は通常、連番で付番されていますが、 歴史的やその他の理由により例外もあります。
- 本数が増えたため77と78の間に77-1を入れた。
- 本数が減ったための欠番がある。
- 上流側が廃止または別系統となったため途中の番号から始まる。
- 回線1と回線2が別鉄塔になってしまい24甲,24乙になっている。
- その他
送電線
送電線は鉄塔のノードをウェイでつないでpower=lineとします。 鉄塔の間は直線になるはずですので中間にノードは不要です。
系統名
併架・分岐がない時は鉄塔の系統名をそのままname=*に書きます。 併架の場合は
- 併架が解消されるまで辿ってみる
- 下表のプレートを探す
ことでそれぞれの系統名がわかればname=高井戸線;杉並線などとします。 分岐鉄塔の場合
- 前後の鉄塔を見る
- 下表のプレートを探す
ことで系統名がわかります。
電圧
voltage=*ですが、電圧を知るのは難しいことが多いです。 会社によっては鉄塔のプレートにそのまま書いてあるので問題ありませんが、 そうでない場合は以下のような情報を総合して求めます。
- 既知の系統から分岐している場合、電圧は同じ
- 変電所・地中線の入り口などを探す(下表参照)
- 併架の状況から類推する
- 電圧の高いほうが上
- がいしの長さが同じなら電圧もおそらく同じ
電圧の異なる系統が併架されているときはvoltage=154000;66000などとします。
例 | 会社・場所 | 説明 |
---|---|---|
|
JR東日本の場合そのまま書いてある
| |
|
|
表記 | 電圧 | コメント・例 |
---|---|---|
11000 (11kV) | ||
2万 | 22000 (22kV) | 東京電力 |
33000 (33kV) | ||
6万 | 66000 (66kV) | 東京電力 |
77000 (77kV) | ||
110000 (110kV) | 中国電力 | |
15万 | 154000 (154kV) | 東京電力 JR東日本 |
187000 (187kV) | ||
220000 (220kV) | 電源開発-中四幹線(廃止) | |
250000 (250kV) | 電源開発-北本連系(直流) | |
275000 (275kV) | 東京電力 | |
500000 (500kV) | 東京電力 | |
1000000 (1000kV) | 日本では未運転 1000kVで設計され500kVで運用されているものはある |
ケーブル数
cables=*です。 通常は三相交流なので3の倍数になります。 たとえば一般的な2回線1系統では6、2回線2系統の併架では12です。 送電に使用されない架空地線は数えません。
導体数
相を構成する導体の数はwires=*です。 併架されている系統で導体数が異なる場合はwires=quad;singleなどとします。
導体数 | wires=* | 例 | コメント |
---|---|---|---|
1 | wires=single | ||
2 | wires=double | ||
3 | wires=triple | 静岡県菊川付近にて撮影 日本では珍しい | |
4 | wires=quad | ||
6 | wires=hex? | 西群馬開閉所付近にて撮影 500kV送電線 | |
8 | wires=octal? | 西群馬開閉所付近にて撮影 1000kV設計(500kV運転中) |
変電所
変電所・開閉塔・制御所などは敷地をエリアで囲むか中心にノードを置きpower=stationまたはpower=sub_station(小さいとき)と入力します。
会社名
電力会社のほか、鉄道などの大口需要家は独自の変電所を持っていることがあります。operator=*と入力します。
例 | 会社・場所 | 説明 |
---|---|---|
|
|
名称
変電所などの名称name=*も同様にプレートを探しましょう。
発電所
発電所は敷地をエリアで囲むか中心にノードを置きpower=generatorと入力します。
エネルギー源
エネルギー源はpower_source=*と入力します。
種類 | power_source=* | コメント |
---|---|---|
水力発電所 | hydro | 落差を利用するもの。
波力・潮力などは含まない。 |
石炭火力発電所 | coal | |
石油火力発電所 | oil | |
原子力発電所 | nuclear |
会社名・名称
変電所などと同様にoperator=*,name=*と入力します。
おわりに
いろいろと書きましたがわからなければpower=*のみでもOKです。
あまり細かい現地調査を行なうと国によってはスパイ扱いされる可能性もありそうなので注意しましょう。
関連リンク
参考になる送電線関係のページへのリンク集