JA:グッドプラクティス
OpenStreetMap はボランティアによって行われるフリーなプロジェクトです。誰でも自分の好きなものを入力することができます。そして、マッピングは参加者が同じ行動規範に同意したときにもっともうまく機能します。以下の「グッドプラクティス」は、追加の努力をすることなく地図データをの品質と価値を向上させることができるガイドラインです。誰かが従うように強制されたり、 OSM もマッパーの誰かに強制したりすることはありません。このガイドラインが適用できない場合や、矛盾する場合もあるかもしれません。
誤りは修正する
OpenStreetMapのデータが間違っていたり現実の地物が変わった時は、堂々と、現在の状況を反映するためにマップを編集します。
あなたが追加したものは、より良くしたり、必要があれば元に戻すこともできますので、地図を編集することに躊躇しないで下さい。
ただし、他のマッパーによって行われた作業には敬意を払って、特に既存のデータが不明確または文書化されていない方法またはタグでタグ付けされている場合は、相手に相談することを検討してください。多くの場合、状況とマッピングガイドラインを解釈する方法が複数あります。また、削除されたデータを見つけたり復元したりすることは、追加されたデータを調整するよりも難しいため、データを削除するときは注意してください。
あなたが初心者である場合や不確かな場合、また遠く離れた場所の編集をする場合には、他のマッパーに連絡して、編集を確認してもらうように依頼してください。
検証可能性
- 主な記事:JA:検証可能性
OSM データは合理的に可能な範囲で、検証可能であるべきです。この原則はタグやデータ表現の他の面に適用され、本質的に他のマッパーが同じ場所に来て、同じデータを収集(あなたが入力したデータを「検証」)できるようにすることを意味しています。 この原則は個人的な評価などの仮説的または独善的なデータは除外します。
地上に存在するものをマッピングする
例えば場所の名前などに矛盾する情報がある場合があります。ある物が古い地図ではそう呼ばれていたものが、現在の地図では別な名前で呼ばれ、標識の名前はまた別になっていることがあります。私たちの地図を(経路案内用に)利用している人は、他の地図にどのような名前が書かれているかには関心がなく、地図の中で現地の標識にある名前を見つけなければなりません(逆も同様)。例外はJohn-F.-Kennwdy Square のような明確な綴り間違いだけです。人々は直観的に正しい綴りを探していると仮定すると、綴り間違いに全く気づかない場合でも、これらを修正することは理にかなっています。参考:ground truth
過去の出来事やオブジェクトをマッピングしない
現存しないオブジェクトはマッピングしないでください。また過去の出来事をマッピングしないでください。それは検証できないためです。遺物が遺されている場合は(検証可能なので)、遺物としてマッピングします(例えば historic=ruins を使います)。もう存在しないオブジェクトや過去の出来事は、 OpenHistoricalMap でマッピングできます(JA:Open Historical Map を参照)。
現実のもので確認できない現地の法律はマッピングしない
OSMは地理的データベースであり、立法データベースではありません。現地の交通規則などの法的側面は、現実世界の特定の地理的地物に依存する限り、特定の要素(道路など)にのみマッピングする必要があります。例えば血中アルコールの制限値や運転できる法定年齢などのような国内のすべての道路に適用されるような交通ルールはタグ付けしません。
ただし、特定の交通標識または路面標示の欠如は、マッピングに十分に関連する場合があります。 例えば、デフォルトの法的速度制限は、場所ごとに異なる速度制限がないことを示すために、maxspeed=*として入力できます。 この場合、maxspeed=*は、特定の道路に関連する意味のある情報を依然として提供しています。交通標識がないことがタグ付けされていない場合、データ利用者はその道路が法定速度で制限されているのか、マッパーによって確認されていないかのみを推測できます。道路標識及び信号に関するウィーン条約の枠組みの中で、交通標識がない交差点の存在は、交差点の前に置かれていた禁止または制限の標識がそのポイントを超えて適用されなくなったことを示します。
一時的なイベントや地物をマッピングしない
地図データは多くの場合、様々な機器上でダウンロードされ、数週間から数か月にわたってオフラインで使われます。オフラインデータを有用にするためには、マッピングしてから少なくとも数週間は変わらないようにするべきです。定期的に行われるイベント(毎週開催される市場など)は別な時間のタグを使用してマッピングできます。
レンダラーのためのマッピングをしない
- 主な記事:JA:レンダラーのためのタグ付け
物事は地上にあるがままに描いて下さい。レンダラーや、経路案内や、その他のデータ利用者が正しいデータでは問題を起こすというだけの理由で、正しくないデータを入力したり、正しいデータを削除したりしないでください。レンダラーは絶え間なく改善が続けられていますので、より美しく見せるためにデータを曲げたりせず、辛抱強く待ってください。あるいは他のレンダラーを試したり、懸念事項を報告したりしてください(Openstreetmap-Carto styleの例)
name タグを説明に使わない
- 主な記事:JA:名称
name タグは地物の名称を記入するために使います。地物の説明や分類を記入するタグではありません。例えば、森を抜ける林道(track)に対して、name=trackとタグ付けしてはいけません。 highway=track とタグ付けします。林道に道路名がある場合に name タグを付けます。道路名がない場合はnoname=yesをつけます。
地図エディタのプリセットを使うと適切なタグが見つかります。 iD ではオブジェクト追加後にキーボード入力します。 JOSM では F3 キーで検索可能です。欲しいタグが見つからなかったら、この wiki や Taginfo で検索してみましょう。または、コミュニティで聞いてみてもよいでしょう。どうしても良いタグが見つからなかったら、 note=* や description=* に説明文を記入しましょう。
変更セットに適切なコメントをつける
- 主な記事:JA:変更セットの良いコメント
変更セットには、編集内容を簡潔かつ適正に記述した、適切なコメントをつけてください。仲間のマッパーに対する礼儀となり、誤解を避け、間違いを早急に正せるようになります。またあなたの編集はより価値あるものになります。さらに、将来自分の編集を見直すときにも役に立つかもしれません。
履歴を残す
- 主な記事:JA:Keep the history
現実世界の事物が変化したら、大胆に、現状をマップに反映してください。ただし、 OSM は要素の履歴を保存できることも念頭に置いてください。既存の要素を削除してゼロから描くのではなく、既存の要素を再利用することで、履歴を保持することができます。
ただし、複数の無関係なオブジェクトの履歴を保存するために、単一のOSM要素を使用しないでください。 詳細については、履歴をチェックするを参照してください。
主要なオブジェクトを大幅に変更する前には履歴を確認して下さい。
地物ひとつに、 OSM オブジェクトはひとつ
- 主な記事:JA:地物ひとつにOSM要素はひとつ
OSMの要素は、1つの地上の地物を1回のみ表現する必要があります。地図上にアイコンを表示させるためだけに、タグ付けされたエリアの中に同じタグのノードを置かないでください。
ノードのみで描かれた地物をエリアで描く場合は、ノードを削除するか、履歴を保持するためにエリアのウェイのノードの1つとして再利用し、ノードのタグをエリアに移します。
このルールの例外などについては記事全体を参照してください。
編集の標準
- 主な記事:JA:編集の標準と慣例
航空写真をトレースする前に座標ズレを補正する
- 主な記事:JA:画像の利用
どんな航空写真も、地上にあるオブジェクトの実際の場所とはズレがあります。ズレは十分無視できるくらい小さい場合もありますが、GPSの誤差より大きい(10m以上)ズレである場合が多いです。またズレの大きさは場所によって変わります(再調整が必要)。既存のOSMデータを移動する場合や新規追加する場合、必ずズレの大きさをチェックするようにしてください。
ズレの大きさを確認するには、例えば次のような方法があります。
- GPSトラックデータや高精度POIデータと比較する。
- 既存のOSMデータと相対位置を確認する。
iD、JOSM および Potlatch にはいずれも航空写真のズレを補正するツールがあります。
古くなった航空写真をトレースしない
- 主な記事:JA:安楽椅子マッピング
航空写真が利用できる場合であっても、それが最新であるとは限りません。既存のOSMデータを修正・削除する前に、今見ている画像よりも本当に古いのか履歴で確認するようにしましょう。自分で訪問し確認したエリアのマッピングにとどめておくのがベストです。
GPS 軌跡を平均化する
- 主な記事:Accuracy of GPS data
単一の GPS トラック内のポイントの精度は、おそらく数メートルの誤差を含みます。これは多くの要因に依存します。もし多くのトレースが同じ道路から取得された場合には、任意のひとつのトレースにある誤りの影響は、これらのトレースの平均位置に関するインパクトがはるかに小さくてすみます。たとえ既にデータベースにある道路がカバーされていても、すべてのトレースをサーバにアップロードすれば役に立ちます。こうすることで、他の人があなたのトレースを使ってエラーを平均化するために使用することができ、結果的に位置誤りを少なくすることにつながるでしょう。
直線のウェイはまっすぐに
完全に直線の道路があるならば、そのように描いてください。2つのノード間のひとつの線で、間に余分なノードなしに引いてください。たいていの道路ではあなたのGPSトラックがこの(GPSデータの正確さ)を反映していないように見えても、実際は完全に直線である場合があります。
JOSM, iD, Potlatch はいずれも、交点の間のウェイを直線にするツールがあります。これは我々のデータを洗練し、マップの見栄えをよくしてくれます。そうとは言っても、ある道路の複数のGPSトレースがすべて曲がって表示されていたり、航空写真で道路の形を見られるのであれば、 OSM でその形を表現してください。
適切なノード数でカーブをマッピングする
カーブや他の曲がった地物をマッピングするのに、適切な数のノードを使うように気をつけてください。道路のカーブをマッピングするのにいくつのノードを使うべき、といった厳しい、すばやいルールはありません - 自分の判断で使用してください - しかし、連続するウェイの部分の変化が比較的小さくなるようにします。そうすると隣接するセグメント間の角度は0°よりは180°に近いことが必要となります。これは急角度のカーブでは多くの密接したノードが必要となり、緩やかなカーブではより少なく、間が開いたノードでマッピングすることになります。
推測したことは fixme に記入する
オブジェクトをマッピングしないよりは、推測込みでもマッピングしたほうが良いこともあります。ただし、推測に基づくものであることを fixme=* に記入してください。それによりあなたまたは他の人が確認する助けになります。
自分のカスタムタグを文書化する
- 主な記事:JA:新しい地物
地物の一覧にない独自のタグを使うときは、このウィキに文書化して、他のマッパーが理解する(そして場合によっては採用する)機会を提供してください。このために地物の一覧のページを使用しないで下さい(Key:またはTag:で始まるすべてのwikiページを含む)。その代わりに、タグ付けの提案ページを立ち上げるか、自分のユーザーページまたはそのサブページに文書を掲載する必要があります。あるいは、Wikiページの「議論」のタブでタグについて言及します。カスタムタグを文書化するには、提案文書を作成するのが望ましい方法です。
自分が意味を理解できないタグを削除しない
あなたにとって何の意味も無いタグの付いた要素に出会うことがあるでしょう。だからといってあなたがそれを削除すべきだ、ということを直ちに意味するわけではありません。それはある目的を持って追加されたものであるかもしれません。それががらくたかもしれないと思ったら、作者に連絡してみてください。
セミコロンで複数の値を入れるのはほどほどに
セミコロンを使うと、あるキーに複数の値を入力することができます。ある種のマイナーなタグでは複数の値を入れるのが便利な場合もあります。ですが、highway=*などの重要なトップレベルのタグではセミコロンで複数の値を設定することは避けましょう。タグシステムのシンプルさを損ねてしまうおそれがあるので、またトップレベルのタグではほとんどサポートされていないため、セミコロンの過剰使用は止めましょう。(セミコロンで区切られる複数値を持つタグは一般にopening_hours=*などリストのような性質を持つタグでサポートされています。)
関連項目
- 編集の標準と慣例 - 正しいマッピングに関する技術的詳細。
- Organised editing best practice - 組織編集に関するベストプラクティス
- Tagging_samples - 実際の写真がついたタグ付けの例
- Category:Tagging guidelines by country - これらの国別のウィキページでは、ふつうメインウィキよりもよい説明が行われています。
- Any tags you like
- Just Map
- Mapbox QA guide
- Limitations on mapping private information - 私的情報のマッピングに関する制限